活かされなかったスペース?

住宅の敷地が狭くなってきたうえに、どうしても住居が重視されるため、最近では庭としての土のスペースを確保することが難しくなってきています。ですから、ほんの僅かでも、土があるということは、幸せなことです。

では、その僅かな土を充分活かしていますか?

ここは、都心から電車で10分くらいの住宅地です。道路からすぐに門扉が迫り、すぐまた急な階段を上りきると玄関があるというお宅です(写真①参照)。築20数年経っていて、その間に建物のリフォームもなさっています。

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門扉の手前、道路側の両サイドに60cm四方の植栽スペースがあり(写真②参照)、生育状態の悪い樹木が生えていて情けない姿でした。また、階段横の余った斜面には、そのまま斜めに土が入れられていただけでした。土が崩れ落ちるのを防ぐため、プラスチックの植木鉢を5、6個置いて土留めにしている状態でした。

このように「土はあるけれど、斜面になっていてどうしたらいいかわからない」というケースは、わりとあります。心当たりの方もいらっしゃると思います。大々的にリフォームをして、庭の部分も素敵に!とみなさんお考えなのですが、予算や工期の期間など考え合わせると尻込みされてしまいます。

でも、ちょっとした工夫でイメージは変えられます。

ここでは、入口の両側に1本ずつ植えてあった樹木のうち、瀕死の状態の片方は取り除きました。もう1本は思い出のある木ということでしたので、土壌改良をして植えなおしました。取り除いた跡には、施主のかたがつるバラを植えたいということでしたので、防腐処理済みの木材をモスグリーンに塗装したオリジナルのオベリスクを作り、そこにつるバラを絡ませるようにしました(写真②参照)。プランする側の本音としては、両サイドをつるバラのオベリスクにしたかったのですが・・・

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門扉を入ると、斜面の土です。入口の植栽スペースに作った花壇と同じピンコロ石を使って土留めを設け、棚田のように平らな部分を作りました。これで植物を植えられます。隣家の陰になるので、日陰の植物を中心にいろいろ楽しんで植えてあります(写真③参照)。

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階段の横の壁面と、階段を上がったところの壁面は汚れていて殺風景なので、オベリスクと同じ色のモスグリーンの横板を取り付けて色で統一感を出し、つる植物が絡むようにし、壁面を立体的に見せてアクセントをつけてみました。(写真①④参照)

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施主のかたも、タイルの階段を石に変えたい、手すりもアイアンの雰囲気のあるものにしたい等々、やりたいことは次から次に膨らんできます。でも、既存のものにプラスαの工夫で雰囲気を変えることはできます。「大リフォーム」そのときがやってくるまで、時の経過とともにお楽しみください。