月別アーカイブ: 2014年8月

簡単に楽しめる屋上のコンテナ菜園

去年は、かなり大型のコンテナで、比較的大きく育つカブや菜っ葉の仲間を作りました(その様子はここをクリック!)。今年は、スペースが限られている場所にも簡単に設置できる、比較的小さなコンテナを用意してラディッシュを作りました。コンテナのサイズは、幅100cm×奥行き40cm×高さ50cmです。培養土は、赤玉土、鹿沼土、腐葉土、たい肥などを混合して、保水性と通気性に配慮しました。
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■金属メッシュ素材を使った菜園コンテナ。10cm刻みで、サイズを調整できます。

関東以西の太平洋側の平地は比較的暖かいので、種類を選べば秋からでも野菜を栽培して楽しめます。中でもラディッシュは、寒さに強くて生長が早く、あまり手間を掛けずに栽培できるので、初心者でも収穫が楽しめる比較的失敗が少ない野菜です。写真は10月10日にタネをまいて、9日後の10月19日の様子です。
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■芽が出揃ったラディッシュの苗。

白い薄布は、ポリエチレン製の細い繊維をシート状に絡ませた「不織布」です。光の90%を通しながら、ラディッシュの葉に卵を産み付けるガが飛び込んでくるのを防ぐことができます。さらに、通気性を確保しながら、強い風を遮ることができるので、吹きさらしの屋上には便利な資材です。自在に曲がる骨を立ててトンネル状にして使いました。
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■屋上は地面を這ってくる害虫がいないので、風でめくれないよう簡単な押さえをするだけで、無農薬栽培ができます。

芽が出揃ったところで、ふたばが傷ついたものや、形がいびつなものを間引きます。この後も、混み合い具合を見ながら間引いて、本葉が2~3枚になる頃に1本にします。不織布を使うと、収穫するまでに必要な作業は、水やりと間引きだけです。間引いた苗は、もちろん食べられます。
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■最初は、キズついたりや形が崩れた苗だけを間引きます。その後、生長にしたがって間引いて、一か所に1本にします。

タネをまいてから1か月経った、11月10日の様子です。
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■ラディッシュも、収穫が近くなると葉が大きくなるので、混み合わないように株間は10~15cm必要です。

根元を見ると、じゅうぶんに太って収穫適期になっています。このまま置いておけばまだ太りますが、肌がひび割れて硬くなったり、中に「ス」が入ったりするので、遅れないように収穫しましょう。
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■生鮮野菜では入手できない品種を揃えました。左から、パープル・スター、ゴールド・スター、レッド・ヘッド

今回もタネでしか入手できない、色や形が変わっ珍しい品種を作ってみました。穫りたてはもちろん、入手が難しい種類を作れるのも自家菜園ならではの楽しみです。
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■上下で紅白になる、丸いレッドヘッド。ラディッシュは丸いという先入観を崩す、細長いロング・スカーレット。

収穫後は、有機肥料を軽く一握りまいてよく培養土と混ぜ、10日程度休ませればもういちどラディッシュを栽培できます。12月から2月頃は気温が低くなりますが、不織布のトンネルが、急な冷え込みや乾燥した冷たい風からラディッシュを護ってくれます。寒くなるので、ラディッシュの成長も遅くなって収穫まで2か月くらいかかりますが、じっくり育って甘味が強くなります。その後、春からはトマトやシシトウなどの夏野菜を育てます。

庭作りは辛抱の末の喜び?

すっかり落ち着いて、なんともいえない風情を漂わせている庭で過ごすのは気持ちのいいものです。そんな庭が我が家にもあればなおさらのことです。

横浜市の閑静な住宅地にお住まいの施主のかたが、以前のお宅を建て替え、和風モダンの住宅を新築されました。庭の部分は、平成14年の冬から打ち合わせをスタートして、現在も樹木の手入れや植物の入れ替え、新たな工事などで長くお付き合いいただいています。

建て替え前の庭にあった樹木は、20年以上経て老化しているものも多く、ヒメシャラ2本とアセビのみを残すことにしました。住宅の建築工事をしたときに出た土が、そのまま小山のように残されていましたが、処分すると経費がかなりかかってしまいます。そこで、奥行き3m足らずの細長い南側の庭に土を盛って、建物に向かった斜面をつくり、高低差のある変化に富んだ空間にしました。
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画像① 建物南側の庭に作った斜面 東側から西側を望む

ヒメシャラは、その斜面に前から生えていたように、それらしい場所を選んで移植しています。
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画像② ヒメシャラなどの自然風植栽 西側から東側を望む

また、玄関から入ると目の前に大きな窓があり、庭の風景を切り取って見ることができる、ピクチャ・ウィンドウとなっています。その風景作りに、古木で変化に富んだ樹形のアセビを配しました。
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画像③ 玄関正面のピクチャ・ウィンドウから見えるアセビ

以上の3枚の画像を見ても判るように、庭が完成したばかりの頃は、まだまだ寂しい感じでした。その後、植物の生長に従い、良いと思った場所に植えたものでも、消えてしまうものがあったり、施主の方の新たなご希望を取り入れたり…と少しずつ少しずつ改良してきました。庭をつくったときには充分対処できると考えていた水はけが予想外に悪く、土の中に暗渠排水管を埋めたりもしました。その部分には、つくば石のゴロタを自然な形で敷いて川の流れのようにしました。必然が生んだ新たな景色です。

そして冬を越え、春が過ぎて初夏の頃には緑たっぷりの庭になってきました。
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画像④ 画像①のその後 建物南側の庭 東側から西側を望む

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画像⑤ 画像②のその後 西側から東側を望む

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画像⑥ 画像③のその後 玄関正面のピクチャ・ウィンドウ
最近の気候の変化で、虫が大発生したり、普通なら葉焼けしない樹木が葉やけして汚くなったり、実がつかなかったり、逆に異常に殖える植物があったり、いろいろなことが起こります。それに一つずつ対処していると、もどかしいこともあると思うのですが、施主のかたはハプニングにも根気よくお付き合いくださいます。この庭を愛して、できることは小まめにしてくださるので、心地よい空間が保たれているのだと思います。庭は作ったその日から、辛抱と根気が求められるものなのかもしれません。それだけに上手くいくと喜びもひとしおです。